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看護師の質/量と患者の予後

ICU看護師の質、量が患者の予後に影響するか?というもの。 著者は看護管理で有名なU PENNのDr Aiken。 Critical Care MedicineのAhead of Printから(まだ誌面になっていない論文)です。 Kelly, D. M., Kutney-Lee, A., McHugh, M. D.et al. (2013). Impact of Critical Care Nursing on 30-Day Mortality of Mechanically Ventilated Older Adults. Critical Care Medicine , 1.  「クリティカルケア看護が高齢人工呼吸患者の一年後の予後に与える影響」です。 対象患者のデータベースは様々なものを使用していますが、2006-2008年、4つの州、303施設からのデータを使用しています。それと、各施設の看護師の質/量を答えてもらって、それらが患者予後と関連しているかをみています。 重要な看護師側の因子としては、学歴(学士以上かどうか)、経験年数(ICUかどうかは問わない)、スタッフィング(何人の患者を受け持ったか)、職場環境(Work Environment)です。職場環境に関しては、PES-NWIというスケールを使用しています。このスケールのサブスケールには、人的資源、病院の意思決定に看護師が参画できているか?、看護の基盤(教育など)、看護管理者のリーダーシップ、看護師と医師との協働が含まれます(この研究では人的な資源はスタッフィングと強く相関するので除外)。 結果、スタッフィングと経験年数は患者の予後と関連がなかった。 職場環境と学歴は患者予後と関連があった。 (Intensivistがいるかどうかは変数にいれてある) 結果として、職場環境を良くすることが大事。また、学士以上の看護師を増やすことが大事、となるんだけど。 職場環境は同意。でも、怖い先輩がいないかとか、同僚は仲がいいか、も入れて欲しいなあ。学士に関しては、本当にそうだろうか。。 そりゃある程度はそうかもしれない。けれど、みてて学士、短大卒、専門学校卒でそれほどケアが違うとも思わない。もし少しあったとしてもだ、患者の死亡率

レベルの高いICU part 2

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年末ですねー。 以前、反響が会ったので、Part 2。今回はレベルというか良いICUのはなし。 あなたは新しいICUの管理者です。以下の特徴を10選べたとします。 すべてのスタッフがACLSを理解し実践できる。 すべてのスタッフは不必要な抑制はできるだけしない。 すべてのスタッフはTNF-αの機能を理解できている。 すべてのスタッフはSIMVとSpontの違いを理解できている。 すべてのスタッフはpermissive hepercapneaを理解している。 すべてのスタッフAaDO2を理解できている。 すべてのスタッフは患者を離床させようと努力する。 すべてのスタッフはインシデントが起きたときに個人の能力に原因を求めない。 すべてのスタッフはAPRVに精通している。 すべてのスタッフは患者に触れたあとにグローブを脱ぎ、手指消毒する。 すべてのスタッフはDICスコアを計算できる。 すべてのスタッフは心音のS3とS4を区別し、記録する。 すべてのスタッフは患者の訴えを真摯に受け止める。 すべてのスタッフはVVIとAAIの違いが分かる。 すべてのスタッフは他のスタッフに対し、仲良くやっていこうと心がけている。 すべてのスタッフは薬剤投与時に患者に装着されたネームバンドを確認する。 すべてのスタッフは緊急入室に対しても快く引き受ける。 すべてのスタッフは新人の失敗を休憩室で笑いのネタにしない。 あなたが考える良いICUでは何を選びますか? 私たちに必要な最低限の知識やスキルは何でしょう? ここでは10個の特徴を得られる前提ですが、実際にそれらを得ようとした場合、どのくらいの苦労が予測されるでしょうか?(例えばAPRVを教えることに比べて) 私たちにまず必要なことは何でしょうかねー。 AACNのHealthy Work Environment が何かのヒントになるかも。 http://www.aacn.org/WD/HWE/Docs/HWEStandards.pdf

スタッフが行う問題解決ーポジティブデビアンス

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論文散策していたらある論文をみつけた。「あること」を行うと手指衛生の実施率が46.5から62.0%に上昇したという研究がある。これは手指衛生の話だけでなく、いろいろなエビデンスを実際の実践に活かす上で参考になるかも。特に多くのスタッフで成り立つICUでは研究結果はそのまま実践に繋がらない。それをいかに普及させるかが常に課題となる。 MD, A. R. M., MD, D. T. N., MD, A. J. W. C., MD, T. Z. S. C., MD, R. P. B., MD, M. S. D. J., et al. (2013). A multicenter study using positive deviance for improving hand hygiene compliance. American Journal of Infection Control , 41 (11), 984–988.  「あること」とは、 Positive Deviance (ポジティブデビアンス)という手法である。このセッションを取り入れることによって手指衛生の遵守率を挙げたらしい。 ポジティブデビアンスってなんじゃ?と私も思ったので、検索で引っかかったHarvard Buisiness Review (HBR)を早速取り寄せてみた。 http://www.amazon.co.jp/Harvard-Business-Review-ハーバード・ビジネス・レビュー-2005年/dp/toc/B000AMI0BE するとこういうことらしいと(推測)。 スタッフの行動を変異させるのはとても難しい話で、それらに関しては様々なフレームワークが紹介されている。このポジティブデビアンスそのひとつ。ポジティブデビアンスは「良い逸脱」という意味。手指衛生を「常に」行うのは難しいとしても、自部署のなかに他とは違ったよい方法で手指衛生を常にしているひとがいるかもしれない。そのひとのやり方をみんなが学習するのがポジティブデビアンスだそう。 似ている方法には「ベストプラクティス」がある。しかし、「ベストプラクティス」とは、よく勘違いされるのだが、「最高の実践」という意味のみでなく、このプラクティスを分析し、管理職(あるいは認定看護師や専門看護師)が自施

適切な胃残量の基準は?

胃残量はいくつくらいになったら速度を変えたり速度を上げたりしていますかという疑問です。  一般的には150mlから200mlくらいかと思うのですが、どうなのでしょうか。 誤嚥と 胃残量の関係性には相反する結果が出ています。 胃残量が多いことは誤嚥や肺炎に関連するという結果もあるし、そうでないという結果もあります。最近の研究では関連がないとしているのが多い印象があります。 下記の文献では、 胃残量のリミットを200mlとした場合と、500mlとした場合で、栄養の投与量や合併症に差があるかを検討しています。 J. C. Montejo, E. Miñambres, L. Bordejé, A. et al. To compare the effects of increasing the limit for gastric residual volume (GRV) in the adequacy of enteral nutrition. Frequency of gastrointestinal complications and outcome variables were secondary goals.  36 (8) 1386-1393 Pages 1386 - 1393 2010 研究のデザインは多施設RCTで、n(対象者数)=329です。対象は挿管、人工呼吸患者です。 経腸栄養はプロトコール化されており、両者の違いは 胃残量のリミットの違いです。 結果として、胃残量500mlの群は、 嘔吐、腹部膨満、下痢などの消化器合併症を増加させなかった。ただし、 胃残量増加という合併症は有意に低下した(リミットを変えているので当然)。 両群間で肺炎発生率、人工呼吸期間、ICU在室日数に差はなかった。 実際に投与されたカロリー/処方されたカロリー×100で表されるDiet Volume Ratio (Diet VR)は、 7日後、12日後では 胃残量500mlの群で有意に高く、3週間後、4週間後では 胃残量200mlの群で高かったが、有意な差はない(この理由はなぞ。ただ、データだけみると時間が経過するとともに個々のばらつきが多くなっている可能性あり)。  この結果からみると、 7日後、12日後のDie

エアマットのモードと循環・呼吸変動

Intensive Care Medicine誌のLetterからです。 Bein, T., Strassburger, K., Graf, B. M., & Göcze, I. (2013). Surprising physiologic side effects of an alternating pressure air mattress during prone position in an ARDS patient. Intensive Care Medicine .  まだきちんと紙上では出版されていないので、「ページ」はついていません。 エアマットレスの圧切替モードで腹臥位のARDS患者の循環、酸素化が変化した、という報告です。 患者は80歳男性(78kg)、交通外傷で肺挫傷、胸骨骨折、肋骨骨折、その他四肢にもろもろの骨折です。P/Fは82、重症ARDSということで挿管管理のうえ、腹臥位を実施しました。循環も不安定でノルアドレナリンを0.3μg/kg/minで投与しています。 で、圧切替型のマットレスを使用していたのですが、そこで、圧切替(10分)と同調するような収縮期血圧、心拍数、酸素飽和度の変化がみられたということです。確かに論文に示されているバイタルサインをみると周期的に変化しています。 この周期的な変化は圧切替から静止に変えると止まり、また、仰臥位では周期的な変化は起こらなかったとのことです。著者は圧の切り替えが胸腔内圧や腹腔内圧に影響を与え、循環、呼吸に影響を与えた可能性がある、と述べています。 個人的には、骨折の部位が部位だし、痛みへの影響はどうなんだろうかとも思ったりしますが、エアマットレスの動作ひとつでバイタルサインに影響を与える可能性があるんだなあと思ったLetterでした。もしかしたらいままで見逃していたかも。 周期的な変化をみたら、マットレスの圧切替もちょっと考えてみよう、ですかね。

新人教育のやり方

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新人教育でしばしば議論になるのは、業務(タスク)優先か、アセスメント能力育成が優先か?です。 わりと熱心な先輩はアセスメント優先で、細かい業務(洗い物とか、片付けとか)は適当でいいよーといったりしますが、業務優先の先輩にあたったりしたら、目先は変わって、時間通りに、きちんと仕上げることを優先されたりします。よね? 新人教育ではどちらが重要なのでしょうか。 個人的には、新人は自分の居場所(立ち位置)を見つけることが大変です。それが見つからなくって辞めちゃうほどです。 なので、まずICUの一員として認められなければならない。あー今日は新人が2人もいる、教えなきゃいけないから大変だーという環境を作ってはいけない。自分たちが厄介者みたいでしょ?そういうのすごい落ち込むから。 新人にはまず自分が役に立ってるという感覚を植えこまねば。と。 で、結局、業務を先に覚えさせ、さっさと夜勤にいれ(+1でね)、新人さんがいると手伝ってくれて楽だわ。くらいにするのがよいかと。 ちなみに夜勤は5月から。7月には日勤独り立ち。特に準夜勤はオペが帰ってきてバタバタするので、+1の期間は長い。しかし、その間に(秋頃)心臓血管外科の手術もうける。新人には難しいでしょーとよく言われるが、見たことないものを勉強はできない。できるだけ経験を積ませながら勉強する方がよいかと。しかも、心臓血管外科は医師が結構ベッドサイドにいる。それほど危なくはない。 むしろ、病棟から転入した内科患者のほうが見てるナースで患者の持っていきかたに差がでるんじゃないかな。 長期的スパンでみればうまくいくか分からないですけどね。

ICUナースの仕事(内野先生のブログより)

JSEPTICの内野先生のブログより。 応援していただいてうれしいですね。 http://blog.goo.ne.jp/druchino/d/20131215

Open ICU-面会に関する考察

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Open ICUはいわゆる診療科の話ではなくって、面会24時間かどうかってこと。 いろいろな論文で24時間面会はいい!って結果がでたりするんだけど、個々の事例で考えた場合、すべての患者、家族に言い訳ではないかも、と思ったり。よくあるのは付き添わなければならない!って家族が思って負担になっている場合。(本人たちは付き添うという役割を持つので負担ではないというかもしれないが。) 理想的にはケアにも一緒に参加して、情報もすべて共有して、なのでしょうが。 最近の論文では、面会時間を伸ばしたら看護師のBurn Out率があがったらしい。 The ODIN Study Group, Giannini, A., Miccinesi, G., Prandi, E., Buzzoni, C., & Borreani, C. (2013). Partial liberalization of visiting policies and ICU staff: a before-and-after study.  Intensive Care Medicine ,  39 (12), 2180–2187.  確かに、仕事が終わるのが22時でそれだったら面会にこれないよーという方には、硬いこと言わないで面会してほしい。でもね、付き添いOKとは違う。 考慮しなければならないのは、いつでも面会できるメリット、その結果、うまく誘導しないと24時間付き添ってしまうときの家族の疲れと看護師の疲れ。看護師に疲れるな、それが仕事だよ!というのは簡単だし、理にかなっている。 けど、どうだろう。。。 本当に難しい。最終的には個別に対応が一番いいんだけど、公平性が 保てなかったりする。もちろん、こちらは公平なのだけれども、その公平が家族に理解できるかは分からない。 (他の例をだすと、重症だから時間を割くのは医療者からしたら公平なのだけれども、家族にしたら非重症者に同じだけ時間を割かないのは非公平だったりする) 誰か面会の実態に関するアンケートしないかな。

カフ圧計がないのですが・・・・

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気管壁に掛かる圧力 = {カフ内圧 - (カフ張力によって生じる打ち向きの力)}/カフの接地面積 カフ圧計の値が高くなればそれだけ気管壁の虚血などの合併症のリスクが上がるといえます。 一番いいのは、挿管時にカフ圧計を使用して、カフ圧を測定することです。 もちろん、そんなことは知っていて、でもカフ圧計が無い、または買ってもらえない施設ではどうしたらいいのか?という質問が来ましたので、現時点での解決策を考えてみました(完全な解決策は見つからなかったですが・・・) 多くの施設でカフ圧計がなかったころには以下のような方法がとられていました。 ・とりあえずシリンジで10cc ・耳たぶの堅さ程度に ・リークが無くなるぎりぎりの量 これらの方法を再検討してみました。 まず、耳たぶ 過去、私たちのチームでは、耳たぶの硬さとカフ圧を比較する検討を、多職種(医師、看護師、救命士)で行いました。その結果、耳たぶの硬さは、適切なカフ圧範囲からかなりの割合で逸脱していることがわかりました(学会発表のみデータ未公開)。そりゃそうです。一人一人の耳たぶの硬さは違うし、同じと思う感覚のずれ自体も大きいのですから(ちなみに私の耳は昔ボディーピアスでおっきな穴が開いていて周辺は硬いです) 次に、リークがなくなるぎりぎりの量とシリンジで適当に入れる方法 下記の論文では、日本人240人を対象にマリンクロット大容量低圧挿管チューブ(Hi-Lo)を使用し、20cmH2Oの気道内圧でエアリークがなくなるまでカフを膨らませています。その結果、20-30cmH2Oの適正圧範囲であったものは28%、20cmH2O以下55%、30cmH2O以上17%でした。この研究では、身長と年齢からカフに何cc入れれば適正圧になるかを統計学的に検討していて、その結果、 シリンジでカフに入れる量=0.11×身長+0.042×年齢-15.6 という式が導き出されました。 例えば20歳で身長150cmならば、0.11×160+0.042×40-15.6=3.68mlをカフに入れなさいという結果でした。やや少ない感じはしますが、この式に従えば、65%が適正圧に、30cmH2O以上8%、20cmH2O以下27%にと、適正範囲内に収まりやすいという結果でした。 この式では10ccの空気を必要とする

VAPにブラッシングは効果があるのか?

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VAP予防に対するブラッシングの有用性に関する検討が「看護に役立つ文献紹介」にUPされました。チェックしてみてくださいね。 http://www.jseptic.com/nursing_paper/index.html

患者のニードに合わせたケアの提供?

質問がしばらくないので、少し雑談? ”集中治療の焦点はケア提供者やICUのニードの合わせて患者を調節するのではなく、患者のニードに合わせて治療やケアを調節すべきである。” Strøm, T., & Toft, P. (2011). Time to wake up the patients in the ICU: a crazy idea or common sense? Minerva Anestesiol , 77 (1), 59–63. 前から好きだったNo Sedation vs DISの研究をやったStrøm氏の論考。(このstudyに関しては、http://www.jseptic.com/journal/cat24.html 参照) 言っていることは、ケア提供者のニードに合わせて鎮静管理をするのではなく、患者のニードに基づいて治療やケアを調節しましょう、ということです。この文章の背景からは、Strøm氏 の患者観に関する強い信念が伝わってきます。無鎮静あるいはコミュニケーションが明確にとれる浅い鎮静での管理は患者のニードを知る最善の方法ともいえる。人工呼吸期間とか、そういうアウトカムだけでなく、患者のニードを知るためにも、コミュニケーションができるような鎮静管理が求められているのかもしれません。 マンパワーやいろいろな問題があるとは思いますが、患者観がしっかりしているのっていいですよね。

インシデント対策に関して

重要なことは、個人を攻撃して起こってしまった誤りをとやかくいうのではなく、システムを安全に確保できる方向に設計し直し、将来のエラーを減らすように専 念することである。もちろん、個人の不注意をそのままにしておいてよいというわけではない。人は注意深く行動しなければならないし、その行動に責任を持た なければならない。だからといって、エラーが生じたときに個人を責めるだけではシステムの安全化にとっても同じようなエラーを起こすことを防ぐ上でも効果 は低いのである。   「人は誰でも間違える」より。   そ うそうインシデントのときに、それを起こした本人を公開の場でさらし上げる文化ってあるらしい。起こした本人に勉強会をやらせたりしてね。それって何か違 わないかい?だいたい知識不足が原因にしても、起こした本人に勉強会を行わせるというのはおかしいくないですかね(ってことはそれを受ける他の人は勉強会 を受ける必要のある人、つましその知識を知らないってこと?)。むしろ研修を受けさせるなら分かるが。 ICU でかなりおおきなインシデントである自己抜管だって、再挿管率は50%程度だと言われてるしね。抑制だって抜かれちゃまずい人とそうじゃないひとがいるで しょう。それを見分けないで一律抑制もねえ(個人的にはフローチャートで正しい判断ができるかも疑問があるんだが)。 抑制は倫理的な問題をかなり含んでいるんだから、それらも考慮して考えて欲しい。インシデントが増えたからとにかくよくないっていう管理の人をみると愕然としてしまうよ。 だいだいインシデントを起こした本人が一番落ち込んでいることが多い(いや、開き直る人もいるかもしれないけど)のに、さらし上げるとは。絶対やっては行けないことだと思う。こういうのがインシデント恐怖症をつくり、抑制過剰に繋がるんじゃないかな。

閉鎖式吸引ってやっぱり痰が取れにくい気が・・・

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1990年代の研究を見ると喀痰のとれる量に差は見られないという結果でした。 でも取れない気がするという質問がありましたのでその話題をひとつ。 2000年に入ってからは開放式とくらべて取れにくいよという研究もちらほらとみられています。 そのひとつがこれ Lasocki S, Lu Q, Sartorius A, Fouillat D, Remerand F, Rouby JJ: Open and closed-circuit endotracheal suctioning in acute lung injury: efficiency and effects on gas exchange . Anesthesiology 2006, 104 (1):39-47. 急性肺傷害の患者で行われていて、開放式の方が痰が取れるけど合併症(酸素化の低下など)は出やすいですよという結果でした。 でもって、痰の取れにくさは呼吸器の設定によって違うんじゃないかというのを調べたのがこれ Lindgren S, Almgren B, Hogman M, Lethvall S, Houltz E, Lundin S, Stenqvist O: Effectiveness and side effects of closed and open suctioning: an experimental evaluation . Intensive Care Med 2004, 30 (8):1630-1637. 結果はどうかというと・・・・ 開放式吸引と、PCV(吸気圧28、PEEP10cmH2O程度)、VCV(TV450、PEEP5)、 CPAP10cmHOでの閉鎖式吸引は喀痰吸引量が低かった。CPAP0cmH2Oだと、ほとんど吸引量に差は無いため、吸引システムそのものの差ではない (閉鎖式システムを使用しているがほとんど開放式みたいなものだから) 。したがって、PEEPなどの呼吸器フローがあると閉鎖式では痰が気管の奥に押し込まれて取れないのではないかとの考察でした ただしこの研究はヒトではなく、模擬肺を使用している上に、痰は石鹸、吸引は律儀にプロトコールを守っていて、気管チューブから2cm程度先が出るように挿入している。こういった設定も結果に影響してい