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アメリカクリティカルケア看護学会へ参加して

先日アメリカのクリティカルケア看護協会(American Association of Critical-care Nurses; AACN)が主催する学会 National Teaching Institute & Critical Care Exposition (NTI)がデンバーで開かれ、そこで研究発表をしてきました。 学会というものの、その名が示す通り教育に力を入れた学会で非常に多くの教育セッションがあります。この教育セッションは、自分たち看護師のなかから公募で募り、教え、講義を受けた人により評価されるという形態をとっています。各発表の時の議論もすばらしく、質問の列ができます。そして、この教育セッションは受ける側も、する側もクリティカルケア認定看護師の認定制度のポイントになり、質を維持するためのシステムの一部になっています。また、机上の教育のみならず、各病院の管理教育?にも力をいれていて、職場環境の善し悪しを数値化数する作業に力をいれたり、その結果である医療の質の測定結果を集めて優秀なICUを表彰したりしていました。 また、お祭り的な雰囲気もあって、この1年で特に目立った活躍をした看護師の表彰などでは、みなが立ち上がったり、チアリーディングで使用するボンボンをふったりと非常に楽しそうでした。(運営する理事たちの選任も各学会員の投票(ネット)でおこなわれていて、そのお疲れ様的な発表もあったかとおもいます。) とにかく一貫しているのは、普通の看護師それぞれが、みんなで協力してクリティカル看護を盛り上げていこうとする姿勢で、それが優秀なICUや人物の表彰や教育方法などの学会運営システムに反映されていると感じました(そういえば、発表者は大切にされていて学会参加費が安くなります)。日本の学会では、少なくともこういう雰囲気(私たちの学会という雰囲気)はないなと、思います。いったいなぜ、そうなのかはわかりませんが。。。。(そして、誰のための学会なのか、も。。。) 帰国して思ったことは、 日本のクリティカル看護を盛り上げられるよう、少なくとも私がクリティカル看護を楽しもうということでした。 そして、私が楽しんでいる雰囲気が、周りの誰かに伝わりますように。

RASS評価時のアイコンタクト

RASS-1は、完全に清明ではないが呼びかけに対して10秒以上のアイコンタクト、とあります。10秒以上のアイコンタクトとは、連続した10秒以上つまり凝視している状態のことをいうのでしょうか? 日本人はなかなかアイコンタクトを継続する習慣がないので、継続ではなく、断続的なアイコンタクト合計10秒ではだめでしょうか?という質問です。 ーーー 原文では、sustained for more than 10 seconds とあります。ここでのアイコンタクトは、指示に従うといいうのみでなく、注意力を継続することができるか?をみているので、やはり、継続できなければなりません。「こちらを見続けてください」と指示して、みてもらうしかないです。特にRASSは、せん妄のスクリーニング的な側面も持ち合わせているというのが売りのひとつなので、継続できること、がポイントになるかと思います。 参考文献 卯野木 健ほか、成人ICU患者においてはどの鎮静スケールが有用か?日本集中治療医学会雑誌15(2)179-188 2008 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/15/2/15_2_179/_article/-char/ja/

A-lineからのカテ感染

A-lineからのカテ感染っていうのはあまりメジャーじゃないかもしれないけれど、実際にはどの程度あるのでしょう? Critical Care MedicineのAhead of Print(これから発行される)から O’Horo, J. C., Maki, D. G., Krupp, A. E., & Safdar, N. (2014). Arterial Catheters as a Source of Bloodstream Infection. Critical Care Medicine , 1.  49件の論文をメタアナライシス(ようするにたくさんの論文を統計学的に統合して結果をみた)し、A-lineからのカテ感染がどのくらいあるのかをみた研究です。 結果は、1000カテーテルデイズあたり、0.96件の発生。このカテーテルデイズ(catheter days)あたり、○○というのは、挿入日数を合計し、そのうち何件発生したかをみる方法。Aさんが3日間、Bさんが10日間、Cさん7日間、A-lineを挿入されていて、Bさんにカテ感染ということになった場合、3+10+7= 20 catheter daysに1件起こったことになる。この20 catheter days を1000に直して算出したのが、「1000カテーテルデイズあたり**」になる。 雰囲気で言うと、10日間A-lineが入り続けている患者が、100人いたとして、そのうち1人がA-line由来のカテ感染を受けているかも、という感じ。これは研究によっても異なって、ルーチンにカテ先の培養を行っている研究だけ取り出すと、1.26/1000 catheter daysと少し上昇するそう。 ちなみに、CVの場合、2.5 / 1000 catheter daysあたり*みたいだから、その半分くらいの発生率らしい。思ったより高い? *Marik, P. E., Flemmer, M., & Harrison, W. (2012). The risk of catheter-related bloodstream infection with femoral venous catheters as compared to subclavian a