投稿

4月, 2014の投稿を表示しています

鼻腔、口腔、気管のうち、どこから吸引するのが、正しいのでしょうか?

JSEPTIC_Nursing メーリングリストからの転載です。   諸説ありそうですね。鼻腔と口腔どちらかはおいておいて、上気道と下気道に分けると、 割とよくみられるのは、気道(下気道)よりも先に口腔(鼻腔、上気道)を吸引するというものです。 その理由としては、気管吸引時に上気道から下気道にむかって垂れ込みが起こるという説が挙げられています。 この説は?と思うことがあって、なぜなら、咳嗽反射があれば気管吸引時にはカフより末梢の気道内圧は陽圧になるので、分泌物の移動はカフ上部→カ フ下部ではなく、むしろカフ下部→カフ上部になると思われるからです。 実際に、気管吸引すると口腔内から喀痰が引ける場合がありますよね。 なので、気管吸引時に上気道から下気道にむかって垂れ込みが起こるという説はどうかなと思っています。 反対に下気道から先に吸引するという意見は、昔の吸引カテを使い回していた時代(下気道から先にすると吸引カテが一本ですむ。)の名残なのかなと 思ったりします。(ただ、先ほどの「気管吸引すると口腔内から喀痰が引ける場合がありますよね」現象から言うとこの説にも説得力があります。) どちらを先に吸引するかという研究は私の知る限りないかと思います。なので、個人的にはどちらでもいいのではないかと思います。個人個人で、 どちらが先という慣れや考えがあるかと思いますが、ほかのひとに「こちらが先じゃないとだめでしょ!」と押し付けるだけの根拠はないかと思い ます。「まあ、いろいろなやり方があるよね。どちらでもいいんじゃない」というのが私の意見です。 助けになっていれば幸いです。 ーーーーーーー つぎのような意見もあります。 少し論点がずれてしまうのかもしれませんが、鼻腔吸引が特に必要となるのは非挿管患者でかつ口腔内まで喀痰できない患者かなと思います。つま り、意識障害がある患者とか、嚥下障害や筋力低下などで喉頭周辺で分泌物がゴロゴロしている場合とかでしょうか。そういった患者の吸引は本来、口腔内から が理想的なのでしょうが(鼻腔粘膜損傷のリスクとかで…。)、口を開けてくれなかったり、開けてくれても吸引チューブを

せん妄は一枚岩ではない

人工呼吸、鎮静管理を受け、DIS protocolを行う患者に対し、DIS (Daily Interruption of Sedatives)前後でRASS、CAM-ICUを比較した論文より。 102人の患者から251回のDIS前後のCAM-ICUデータを得た。 うち、5回は昏睡状態でCAM-ICUでの評価ができないので除いた。つまり、246回の評価で分析を行った。 DIS前の評価では、246回中218回でCAM-ICUは陽性であった。 しかし、そのうち63名はDIS後の評価ではCAM-ICUは陰性になった。→ここで陰性になった患者は、鎮静薬によるせん妄と考えられる(Rapidly-Reversible, Sedation-Related Delirium)。 両方ともせん妄であった患者は、鎮静薬の影響はないとはいえないけれど(もっと時間をかければ変化があったかもしれない)、とりあえず"Persistent Delirium"(継続するせん妄)とした。 あとは、DIS前後でCAM-ICU陰性の患者がいるので、そういう患者はNo Delirium。 一人の患者で両者が混合する場合を"Mixed"と名付ける。 患者ベースで考えれば、102人の患者のうち、 No Delirium (ND): 10人 Rapidly -Reversible, Sedation-Related Delirium (RRD): 12人 Persistent Delirium (PD): 51人 Mixed: 24人 に分けることができる。 とりあえず、RRDの12人は鎮静薬によるせん妄と考えてよさそう。ちなみにそれぞれのグループにおける鎮静薬の種類には有意な差はない。 で、せん妄患者の予後。いままではせん妄は予後悪化と関連していると言われてきた。この研究で面白いのはここ。 1年後死亡率をみると、 No Delirium (ND): 20% Rapidly -Reversible, Sedation-Related Delirium (RRD): 25% Persistent Delirium (PD): 66% Mixed: 54% であった。 並べると、死亡率が高い方から PD>