CAM-ICU? ICDSC?

最近ICDSCに関する質問があったので、立て続けですが。。

どちらが感度が高いか、特異度が高いか、などの議論は前に書いたとおり。
基本的には施設の特性にあわせて選べばいいだけ。CAM-ICUもICDSCもかなり研究で使用されているし、それなりに妥当性のあるツールだといえる。何もやらないよりはやった方がよかろうと思う。

では、うちの施設では?というとCAM-ICUを使っている。なぜか?

せん妄のスクリーニングツールを使用するひとつの目的に、どのくらい予後を反映するかということがある。論文でも、この患者層にせん妄スケールが使えるのかな?ということを評価する際、死亡率を当てはめて、せん妄陽性の患者で死亡率が高かったから使える!となったりする。せん妄は多臓器不全のひとつの表現型だという考え方が主流なので、そういうことになるらしい。

しかし、看護師がせん妄を評価する動機って、そういうことかな?と思う。せん妄それ自体を診断するのではなくって、知りたいことはその患者が説明を理解したり、記憶を保持したり、予測外の行動をとるかどうか、ということだったりする(簡単にいえば、ラインを抜いたりする危険があるか)。これはせん妄と同義なのかもしれないけれど、全く一緒じゃない。これは「せん妄」に関する主流な議論とは違うのかもしれないけれど、せん妄の評価を行う主な動機は、身体拘束の必要性を判定したりするところに実はあると思う。

そこを素直にみないと、せん妄評価を導入したのはいいけど、どうやって看護に活かせるのかがわからない、ということになるんじゃないかな、と思う。

で、説明を理解したり、記憶を保持したり、予測外の行動をとるかどうかを判断するには、CAM-ICUの方が適している(直接患者に質問をするので、感覚的に当たっている感がある)ような気がする。自分たちが見たいのは予後とか、多臓器不全のことじゃないんじゃあないかな、と(それは主流な意見じゃないだろ、というのも分かります)。
実は同じ方向を向いているはずの、導入したい医師と看護師の間に動機のギャップがある気がする。

まあ、どちらを使ってもいいんです。それが何か看護実践に活用できるのであれば。

コメント

  1. はじめまして。はじめてコメントを残しますメガネと申します。
    うちのICUもせん妄の評価スケールを取り入れようとしており、勉強会を開くにあたり、いろいろ調べていたらここにたどり着きました。
    どの評価スケールを使用するか、で医師と意見の違いがあって悩んでいたのですが、このブログの記事をみて「ああ!そうだった!」と気づかされました。
    医師は「研究の時に有効なスケール」や「予後予測」などを重要視して評価スケールを選んでいますが、私たち看護師は「その評価を使って看護にどう活かせるか」「どういうケアをしたらせん妄を悪化させないか」と知りたくて評価をするんだ!と気づかされました。もちろん専門職の観点から評価スケールを使用する理由は異なっていいと思うのですが自分の中ですっきりしたのでコメントとさせてください。
    これでしっかりと自分の気持ちをもってICUの皆に勉強会と評価スケールを活かした看護を一緒に考えていきたいと思います!ありがとうございました!

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