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急性心筋梗塞、PCI後は心筋酵素のピークアウトまでケアは控えるべき?

AMIなどの場合は心筋酵素(CK,CK-MB,GOTなど)を測定して心臓のダメージを評価します。心筋酵素のピークアウトについてもCKであれば通常24時間ですが、再還流などの処置をした場合は12時間までに短縮されます。 PCI後は、稀とはいえ、再梗塞のリスクがあります。CKが低下する(ピークアウトする)ことによって、再梗塞は大丈夫そうだという判断をします。そのため、循環器内科の医師としては、ピークアウトをみるまではケアは控えてほしいと言うかもしれません。 こういった状況の中で、命がけでケアをするメリットはそれほどないかと思います。ケアを後回しにできるのであれば、ピークアウトするか評価してからでも遅くないですね。午前中にしようと思っていた清拭などの処置を午後にずらす、もしくは顔や手だけを拭くといった事は悪い事ではないかと思います。 清拭でどのくらい患者に負荷がかかるのかはケースによって異なると思いますので、やっても大丈夫な例もたくさんあるでしょう。しかし、ピークアウトまでにかかる時間はそれほど長いものではありません。その間くらいは”ルーチン”な清潔ケアは少し遠慮してもよいのでは、と思います。それで失うものはそんなにないはずです。

加圧バッグ作成時、ライン内にエアを入れない方法

A-lineなどに使う加圧バッグ、ラインをプライミングする時に細かいエアが入って困ることはないですか? あれ、作成時に一手間かけると随分エアが少なくなります。 エアがたくさん入るのは、プライミングするときの速度が速いときなんです。加圧バッグで圧を300mmHgまであげたあとにフラッシュしてプライミングすると細かいエアを巻き込みやすくなります。 そこで、1番いいのは加圧バッグの圧はかけずに、フラッシュバルブを開いてプライミングする方法です。 でも、それでは全く圧がかかってないので、プライミングに時間がかかりすぎる。そこで、加圧バッグの圧は一度、100-150mmHgくらいにあげてからプライミングし、そのあと300mmHgまであげるといい感じになります。

A-Lineの加圧バックへのヘパリン混注

A-Lineの加圧バック用の生理食塩水にはヘパリンは混注すべきか? A-Lineの加圧バック用生理食塩水にはヘパリンを混注した方がいいのですか?また私たちの施設では、1000単位=1㏄のヘパリンを混注しているのですが?少なすぎないのか、どれくらいならいいのか? 確かに、よく考えるときになることですね。あまり多くの研究がなされているわけではなさそうです。1つのRCTと、他に発表されている研究のまとめがあります。続きはJSEPTIC看護部会のHPでどうぞ http://www.jseptic.com/nursing_paper/

T-piece vs PSV

SBTをT-pieceで行った方がよいのか、PSVで行った方が良いのか? T-pieceで行った方が負荷は強いけれど、抜管(再挿管にならない)のスクリーニングとしては信頼できそう。T-pieceに耐えれたなら大丈夫!的な。でも実際はどうなんでしょうか。 誰しも持つ(持たない?)疑問ですが、1997年にそれらを比較したRCTが発表されています。続きはJSEPTIC看護部会のHPでどうぞ。 http://www.jseptic.com/nursing_paper/

ルーチンの清拭は意味があるか?

清拭にはいろいろな意味があると思います。「伝統」「爽快感」「家族の見た目」「感染予防」。感染予防の観点から言えば、2%クロルヘキシジンによる全身清拭はBSI低下に役立ったとか、そういう論文も最近はみかけます。 清拭だけでなく、なんでもそうかもしれませんが、高い価値をおく人もいるし、それほどでもないひともいる。毎日髪を洗わないと気持ち悪い人とそうでないひとの違いです。習慣や価値観からきている問題ですので、なかなかむずかしいです。患者側のニードもそれぞれですし。 個人的には、時間があれば体をきれいにし、服を着替えさせたい。でも、命をかけてまでそういうことはしなくて良いと思う。 家族に対しては?(家族がよく触る)手をきれいに洗ったり、全身清拭以外でもやれることはあると思う。私見でした。 実施基準などはエビデンスに裏付けられるものはないと思います。 Bleasdale, S. C., Trick, W. E., Gonzalez, I. M., Lyles, R. D., Hayden, M. K., & Weinstein, R. A. (2007). Effectiveness of chlorhexidine bathing to reduce catheter-associated bloodstream infections in medical intensive care unit patients. Arch Intern Med , 167 (19), 2073–2079. doi:10.1001/archinte.167.19.2073

Tube Compensationとは何?

Tube Compensation (TC)とは、気管チューブの抵抗のみを打ち消すモードです。 気管チューブは細くて長いので抵抗を生み出します。 抵抗を生み出すということは、気管チューブの遠位と近位ではかかっている圧が異なるということです。口元の気道内圧(回路内圧)では10cmH2Oの圧がかかっていても、気管チューブ近位(気管支部)では抵抗により圧が打ち消されて5cmH2Oくらいにしかなっていない可能性もあります。 TCでは、入力された気管チューブのID(内径)と長さ(気管チューブか気管切開かで選択)から、抵抗を予測し、気管支部で一定の圧を生み出すようにフローを制御します。 簡単に言うと、PSVではあくまでも口元の圧のみをモニタリングして補助をしているのに対し、TCでは抵抗を予測しつつ気管チューブの抵抗を打ち消すだけのフローの制御をしています。 TCはSBTに良く使用されるモードです。他の方法と比較し、有用であるという報告も多数存在します。 Reference Unoki, T., Serita, A., & Grap, M. J. (2008). Automatic tube compensation during weaning from mechanical ventilation: evidence and clinical implications. Critical care nurse , 28 (4), 34–42– quiz 43.

Transpulmonary Pressure (経肺圧)てなに?

Transpulmonary Pressure とは、肺胞内外圧較差のことです。 式で表すと、 Tpt = Palv - Tpl   Tpt: Transpulmonary Pressure 、Palv: 肺胞内圧、Tpl: 胸腔内圧 です。肺胞内の圧から胸腔内圧を引いたものです。 例えば肺胞内圧=20cmH2Oのとき、自発呼吸も発生し、胸腔内圧が-7cmH2Oであれば、 20cmH2O-(-7cmH2O)=27cmH2O がTranspulmonary Pressure になります。これにより、肺胞壁にかかる圧が分かるわけです。大きければ大きいほど肺胞は膨張する方に働くことになります。 最近では肺胞内圧よりもTranspulmonary Pressure が高いことがVILIと関連している、なんて言われてたりもします。