末梢を温めることに意味はあるか?
成人患者で末梢が冷たい場合、末梢を保温したりしますよね。それって効果があるのでしょうか? 効果があるかを考えるには、その保温という行為の目的がはっきりしないといけません。目的はいろいろなのでしょうが、まずは末梢の循環を改善する?ということを考えたいと思います。 私たちが使用するホットパックで末梢循環は改善するかもしれません。それはある種のパルスオキシメトリーについているPerfusion Indexや、それまでうまくひろわなかったSpO2が表示されるというような場面で実感することがあります。しかし、これらは大きい目で見た循環動態や予後を改善するかというと、どうでしょうか。それを示した研究は私の知る限りありません。 実は看護師が行う末梢の保温は、これらの目的だけでなく、別の大きな目的があるのではないでしょうか。それは循環の改善等の大きな目的を達成するわけではなく(多少の期待はしているかもしれない)、シンプルに手足が冷たい、ゆえに、保温するということです。 手足が冷たい=つらいこと、なので、つらさを緩和しよう、ということですね。 なので、末梢を温める行為の目的は、生理学的な何かの改善のみにあらず、なのではないでしょうか。辛そうだからそれを緩和したいという看護師の優しさだったりするのかもしれません。それはそれで、よい話なのではないかなと思います。