VAP予防:夜間も頭部挙上しなければならない?


特に意識状態の良い患者では、本人の体位の好みがありますよね。もっと頭を下げてほしい、とか、もっと挙げてほしいとか。

VAP予防の観点で言えば、頭部挙上30°から45°がガイドライン等で推奨されています。でも本人の好みとこの推奨がぶつかってしまうことは良くあることではないでしょうか。どのように考える必要があるでしょうか。

原理原則で言えば、VAP予防のためには、夜間も含めて頭部挙上を維持する必要があるということになります。理屈上、頭部挙上がなされない時間が長いほど、VAPの リスクは高くなるはずです(あくまでの理屈の話です。研究として頭部挙上の時間とVAPのリスクの関連性は分かっていないと思います)。

しかし、特に浅い鎮静管理が推奨される現在、患者の体位に関する「好み」を無視して頭部を常に挙上し続けることは難しいのではないかと個人的 に思います。

45°頭部挙上が仰臥位と比較してVAP発生率を低下させるというRCTが出てから14年も経過しています。その頃とは鎮静管理の方法もかな り違うと思いますし(例えば患者の嚥下機能も違うんじゃないかと思うのです)。現在の管理の方法で、同じような研究を行った場合、同じ結果が出るとは限らないわけです。また、もともとの論文は0°と45°を比較するという割と極端な比較であって、たとえば20°と30°では違うか、は明確な結論は出ていません。実際に45°を

なので、本人の好みが分からない(つまり意識障害があったり、深い鎮静下の患者)場合は、できるだけ頭部挙上を維持する。浅めの鎮静の場合、 頭部挙上をおすすめするけれども、本人のとりたい体位を考慮にいれる、ということでよいのではないかと感じています。

みなさんの施設ではどうなんですかね。(少し聞いてみたところ、本人の好みを結構優先しているような印象でした)



Drakulovic, M., Torres, A., Bauer, T.et al. (1999). Supine body position as a risk factor for nosocomial pneumonia in mechanically ventilated patients: a randomised trial. Lancet, 354(9193), 1851–1858.


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