睡眠とせん妄

一般的には、睡眠とせん妄は深く関連していると信じられているが、実際にはどうどうだろう。
睡眠に関する障害(不眠であったり、昼夜逆転など)は、せん妄の症状(表現系)だったりするので、睡眠障害がせん妄を「引き起こす」のか、結果としてせん妄だから睡眠障害なのかは実はよく分かっていなかったりする、のかもしれない。なんていう疑問に対して調査した研究。

Kamdar, B. B. et al. Delirium Transitions in the Medical ICU. Crit Care Med 1 (2014). 




この研究では、患者が自覚する睡眠に関する質とせん妄に関して調査している。
研究は、別の研究のsecondary analysisとして行われた。223人の内科系ICU患者に対して睡眠の質を調査し、せん妄に関してはCAM-ICUで評価した。睡眠の質と、せん妄への移行に関してその関連性を検討している。
結果をいうと、睡眠の質とせん妄への移行に関しては関連性がみられなかった。

実は、ICUにおいては、睡眠の質がせん妄とどのくらい関連しているかは未だ不明。ICUでの睡眠障害は、環境だけじゃなくって、(思ったよりも)侵襲や薬剤によるものが多いと思う。実際に敗血症患者ではメラトニン分泌のリズムが消失するという研究もあるし。それらに対して環境を調整してどのくらい効果が挙げられるのかは、冷静に考えると・・・・どうですかね(うるさくしてもいいと言っている訳ではありません。)?

PSGなどを使った客観的な睡眠状況と主観的な評価は違うんじゃないかとか、意見はあるとは思うけれど、どちらにしても、一般的に思われる結果、つまり睡眠障害はせん妄を引き起こす、という結果ではなかったことは興味深い。


まだまだよく分かっていないことはたくさんある。

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