せん妄のリスクとなる薬剤

せん妄のリスクとなるとされる薬は多種多様で、ICUで使う薬のほとんどじゃないか、と思うほどであるが、非常に重要なのはベンゾジアゼピン系の鎮静薬である。

人工呼吸患者を対象とし、ミダゾラムとデクスメデトミジンによる鎮静管理を比較した無作為比較試験では、ミダゾラムで鎮静管理を受けた患者の方が有意にせん妄の発生率が高かった
Riker RR, Shehabi Y, Bokesch PM, et al. Dexmedetomidine vs midazolam for sedation of critically ill patients: a randomized trial. JAMA 2009;301:489-99.

同様に、デクスメデトミジンとロラゼパム(静注薬は日本未承認。)の比較でも、ベンゾジアゼピン系の鎮静薬であるロラゼパムで有意にせん妄が多いという結果が報告されている
Pandharipande PP, Pun BT, Herr DL, et al. Effect of sedation with dexmedetomidine vs lorazepam on acute brain dysfunction in mechanically ventilated patients: the MENDS randomized controlled trial. JAMA 2007;298:2644-53.

せん妄かな、と疑ったら、これらの薬が投与されていないかを確認してみるとよいと思う。他の薬に変えれるのであれば、変更をお願いするとよいかも。

ちなみに(よく見かけると思いますが)、経口の催眠薬もせん妄を引き起こしたりするので、眠れないと行っているからといって安易に投与するのもよくない。眠らせるつもりがせん妄を引き起こしたというのは稀ではない。

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