鼠径部へのカテーテル留置患者の離床

鼠径部のカテーテル(中心静脈ライン、動脈ライン、血液浄化用のバスキュラーカテーテル)の留置患者の離床に関して、です。

確かに、鼠径部にカテーテルが挿入されている患者の離床は手控えてしまいますね。屈曲や事故抜去、血腫形成などが怖いです。実際に離床が進まない理由として鼠径部へのカテーテルが最も多い理由であるという報告もあるくらい。
では、それらの憂慮は本当にあたっているでしょうか。

以下のような報告があります。

Perme, C., Nalty, T., Winkelman, C., Kenji Nawa, R., & Masud, F. (2013). Safety and Efficacy of Mobility Interventions in Patients with Femoral Catheters in the ICU: A Prospective Observational Study. Cardiopulmonary Physical Therapy Journal, 24(2), 12–17.




心血管系ICUに入室し、鼠径部へカテーテル(Femoral Catheter)が挿入されている77人の患者を対象にした観察研究を報告します。端座位、立位、椅子への移乗、歩行を含むリハビリテーションを行い、その結果を報告しています。挿入されていたカテーテルは動脈ライン(長さ12 cm)が最も多く、次に中心静脈(16〜20 cm)、血液浄化用(23cm)の順になっています。合計で630回の離床を行っており、カテーテルに関連した合併症は一つもなかったことを報告しています。
その他、本文は読めていませんが、他の研究でも同じような結果が出ているようですね。


Damluji, A., Zanni, J. M., Mantheiy, E., Colantuoni, E., Kho, M. E., & Needham, D. M. (2013). Safety and feasibility of femoral catheters during physical rehabilitation in the intensive care unit. J Crit Care, 28(4), 535.e9–15. 


これらをみると、実はあまり関係がないのかもしれません。個人的には鼠径部では固定がそれほどしっかりできない気もするので、自然抜去への注意は重要だと思いますし、屈曲がないか慎重に観察することも重要だとは思いますが、今まで思っていたほど怖がらなくてもよいかもしれません。


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