医師、患者が疑問に思う必要のある5つ事項



最近、話題の 「Five Things Physicians and Patients Should Question」を翻訳してみました。意訳している箇所もあります。
よかったら参考に一度読んでみてください。
本文はhttp://www.choosingwisely.org/doctor-patient-lists/critical-care-societies-collaborative-critical-care/


医師、患者が疑問に思う必要のある5つ事項

 

1.             ルーチンで毎日検査を行うのではなく、特定の疑問を明らかにするために検査を行う。


多くの検査(胸部X線、動脈血ガス、採血、心電図を含む)は、定期的(例えば毎日)にオーダーされる。ルーチンな検査は、特定の疑問に対して必要時検査を行う方法や、治療方針を決定するために必要な検査を行う場合のみ検査を行う方法と比較して、医療費を増加させ、患者に利益がなく、もしかしたら患者に害を与えるかもしれない。不要な採血は、輸血を必要とする貧血の原因になるかもしれないことや、 ルーチンの検査で生じる意味のない検査値に対して精密検査を行うリスクも含まれている。

2.             血行動態が安定し、出血がなければ、ヘモグロビン濃度が7g/dLを越えるICU患者に赤血球輸血をしない。

 ICUにおいて赤血球輸血は、循環不全を引き起こす急性出血よりも良性貧血に対して行われている事が多い。すべてのICU患者を対象にした研究によって、ヘモグロビン濃度7mg/dLを基準に赤血球輸血を行うことは、それ以上のヘモグロビン値を基準に赤血球輸血をした場合と比較して生存率は変わらないか改善、合併症の低下、コストの削減と関連していた。積極的に輸血することは資源の少ない輸血の入手を困難にするかもしれない。ACS患者では輸血投与の基準値が異なる可能性があるが、大部分の観察研究ではこのような患者に対する積極的な輸血の有害性が示されている。

3.             ICU入室後最初の7日間以内には、十分な栄養状態の重症患者には静脈栄養を使用しない。

 ICU入室前の十分な栄養状態にある患者にとって静脈栄養を入室後7日間以内に開始することは有害であり、患者の利益にならず、生存率やICU在室日数と関係している。早期静脈栄養は不必要なコストへと繋がる。これらは経腸栄養が施行できない患者においても同様である。早期静脈栄養が院内感染と関連している。
しかし、ICU入室前に重症な栄養失調である患者にとっては、早期静脈栄養は有益かもしれない。

4.             人工呼吸器患者に対して、特別な理由もなく、毎日の鎮静を浅くする試みなしで深い鎮静管理をしない。

 ICUの多くの人工呼吸器患者は、浅い鎮静管理をする事で人工呼吸装着期間やICU在室日数を短縮するというエビデンスがあるにもかかわらず、日常的にはルーチンで深い鎮静管理が行われている。プロトコルを基にした安全なアプローチがいくつかあるが、それは鎮静剤よりもまず優先的に鎮痛薬で最も浅い鎮静管理をする事や、毎日の持続鎮静剤の中断を施行する事であり、安全に深い鎮静を制限できる。これらのアプローチは1つのみと、複数では結果は変わらないかもしれないが、人工呼吸期患者に深い鎮静管理を施行するよりはアウトカムは改善する事は明らかである。

5.             死、または高度な機能障害となるリスクがある患者やその家族に対して、症状緩和のための代替治療の提案をすることなしに生命維持のための治療を継続しない。

 患者とその家族は、しばしば延命治療を避けたいと考えている。しかし、医療従事者は患者の価値観や患者のゴールを聞き出せず、患者中心の医療が提供できずに多くの患者は積極的に生命維持装置を装着されている。普段から患者と代理意思決定者で延命処置の選択に関する話をしておけば、死別時に家族の苦悩を緩和させ、Quality of Dying(死の質)を向上させるかもしれない。生命維持のための治療を行っている患者であっても、疾患に対する治療を行うと同時に苦痛緩和のケアを行う事は有益である。

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